ハナムグリのように

日々のあわ 思ったこと、聴いた音楽や読んだ本のことなどを

家族写真

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夜な夜な古い家族写真を眺めている。
忘れかけていた古い記憶が少しずつ蘇ってきて、これがどんな感情なのか自分でもわからないけれど、何故だか泣きそうになる。海に行った思い出、動物園に行った思い出、夏祭りの思い出。どの写真からも眩しいくらいの幸せが溢れていて、苦しいほどに胸を締め付ける。どんなに素晴らしい映画や音楽でも敵わないであろう、純度の高いノスタルジーがそこにある。

この歳になると家族に対して好きとか嫌いとかいった感情は無くなるけれど、古い写真の中で笑う家族は愛おしくて堪らない。もう戻ることの出来ない、あの幸せな日々。決して今が不幸だという訳でもないのに、どうしてこんな気持ちになるんだろう。可能ならば今すぐにでもあの頃に戻りたいと思ってしまう。もしくは写真の中に飛び込んで、その子供(自分のことだ)をギュッと抱きしめたいと思う。
うん、本当にこれはどんな感情なんだろう。自分でもよくわからない。

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何日か前から古い家族写真をデータに起こす作業をしている。
これがなかなか地道な作業で、しかもかなりの量がある。自分や兄弟の幼少期はもちろんのこと、古いものだと両親が学生の頃の写真まで。そうなってくるともはや家族写真でもないのだけれど、そんな数十年前から、デジタルカメラとパソコンが家にやってくる中学生の頃までざっと30年弱。スキャナーでパソコンに取り込んで、フォルダに振り分けていく作業は果てがない。現状でざっと1400枚完了。でもまだ終わってない。
気の遠くなる作業だけれど、一方で楽しいのも事実で、両親が今の自分よりも随分と若い頃の写真を見るのはとても新鮮だ。年下の初々しいカップルの写真。タイムスリップした気分になる。この二人が結婚してのちに僕が生まれるのかと考えると、微笑ましくもあり、ちょっとこそばゆくもある。

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それにしてもフィルムカメラの質感は素敵。