ハナムグリのように

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大麻、プラハ、そしてバター

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バターが高すぎる。マーガリンに比べると倍ちかい価格だから、ついついマーガリンに手がのびる。お菓子を作る時だって本当はバターを使いたいのに妥協してケーキ用マーガリンを使ってしまう。もちろん無理して買えない金額ではない。買えなくはないけれど無理をする気もない。結局いつまでたってもバターが食べられないでいる。
そもそもこんなにもバターが高いのは日本くらいだという。海外では日本の3分の1以下で買えるから、外国人にはバターが高い食材だなんて印象はない。バター高騰の理由としては、日本では酪農家を守る為バターに巨額の関税がかかっている事、保存期間などの関係で製造工程が牛乳→生クリーム→チーズ→バターの順に行われる事、はたまたバターを取り巻く団体の利権問題などなど、ネットで調べると理由はわんさか出てくる。それらの理由からバターは品薄に、そして価格が高騰してしまう。そうかそうか、色んな理由があるのはわかった。わかったから、じゃ自分はどうしたらいいんだと、日々悶々としている。

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チェコマリファナに寛容な国だと知ったのはプラハ旅行を決めた後だった。マリファナ、またの名を大麻。日本では芸能人やその親族が逮捕されて時折話題にあがるドラッグ。当然違法薬物で、日本では大麻取締法(薬物取締法ではない)によって輸入はもとより流通、生産、所持、使用が厳しく規制されている非合法なドラッグだ。
一方、海外ではと言うと大麻解放の動きが盛んで、よく知られているところでは、オランダではコーヒショップで嗜好品としてマリファナの購入が可能。他にもスペインやウルグアイアメリカでも医療大麻なら29州、嗜好品としての大麻も8州で合法になってる。そもそも大麻はアルコールや煙草に比べて常習性も低ければ、身体への害も少ないという。だから規制する必要もないし、むしろコカインなんかのハードドラッグをやるくらいなら大麻を吸ってて下さいという考えで合法化している国もある。つまり世界的な認識では、大麻は絶対悪のイメージがあるドラッグでは全くない。過去にポール・マッカートニーが来日した際、大麻を所持していたがために逮捕されて公演が中止になった事があった。その時も「マリファナは危険だとは思わないし重い罪になるとは思わなかった。日本の法律を見直す必要があるんじゃないかなぁ。」なんて答えてる。これが38年前。そこから現在まで世界では大麻解放の動きが進み続けている。


大麻解放運動に対しての反論でよく目にする理論として「踏み石理論」というものがある。英語ではゲートウェイ理論。大麻そのものに害はなくとも、大麻をはじめとするソフトドラッグを使用するとそれが入口となって害のあるハードドラッグをやってしまう、だから大麻は禁止せねばならない。といった理論だ。大麻をやったことのある人がコカインに手を出す確率は大麻をやったことの無い人の〇〇倍だ、みたいなことを根拠としてる理論だけれど、これってなかなか無茶苦茶な理論な気もする。先の文章での「大麻」を「アルコール」に換えても「煙草」に換えても、もしくは「マクドナルドのビッグマック」に換えても同じくらいの倍率は出るだろうし、そもそも大麻ゲートウェイに位置づけてるのは今の社会の法と認識なんじゃないかとも思う。大麻には害がなく、医療用としては腰痛、消耗症候群、慢性痛、末期エイズ患者の食欲増進など多岐に渡って有用な薬である、といった認識の元なら決してゲートウェイにはなり得ない。つまり踏み石理論大麻を違法としている現状ありきの理論だ。それが原因で医療用としての大麻の使用(かつては日本でも喘息の治療品として売られていた)が遅れるのは如何なものかなと思ってしまう。
と、まるで大麻解放論者のように書いたけれど、僕自身は大麻どころかアルコールもタバコもやらないから、正直なところ大麻アルコール煙草の全てが違法になっても別にかまわない。


話を戻して、プラハの話。不思議なことにこれだけインターネットが発達している世の中にもかかわらず、プラハにおける大麻事情はとっても分かりづらい。大麻所持は犯罪と書いてあるサイトもあれば、個人仕様なら5株までの栽培、ジョイントなら20本までの所持が合法と書いてあるところも。街中で大麻キャンディーや大麻クッキー、大麻アイスが売られているといった写真がアップされていたりもして、それで実際のところはどーなの?という好奇心は募るばかり。好奇心が募ったうえで、実際に現地に赴く観光旅行は楽しい。レッツ、フィールドワーク。

はっきり結論から言うと、チェコにおいて大麻は非合法だった。ただし規制は緩い。5株までの栽培、ジョイント20本までの所持は駐車違反程度の罪にしかならないそうだ。でも一応、犯罪。もちろん販売もダメ。大麻アイスも売ってない。これはおそらくアブサンゴッホ太宰治が中毒になったという薬草系リキュールで「飲むマリファナ」といわれたりもする)を売っているショップが多いことから、そこで売っているアブサンアイスを大麻アイスと勘違いしたんじゃないかと。そして大麻キャンディーや大麻クッキーについて。これは本当。土産物屋やタバコ屋で普通に売ってる。クッキーやキャンディーはもちろん、大麻ティー大麻ハーブといった見た目がそのままの代物まで売っている。微量を製品に練り込ませる分には問題ないのか、もしくは幻覚成分であるTHCを含まなければ合法なのか、その辺りはグレーゾーンなのかわからないけれどとにかく売っている。ちなみにプラハ大麻を買う方法はヴァーツラフ広場を歩いている売人から購入するのが一番手っ取り早いらしい。ただ注意も必要で、そこで売ってる大麻は質が悪い上にボッタクリ金額なんだとか。もう少し賢く買うのなら、クラブでマリファナ持ってそうな人に声をかけることらしいけれど、それってハードル高いよなぁ。って、どれも犯罪よ、一応。

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それにしてもバター。
バターが高くて買えないからマーガリンばかり使っているけれど、アメリカでは逆にマーガリンが手に入らない。原因はトランス脂肪酸だ。マーガリンに含まれるトランス脂肪酸心筋梗塞のリスクを高めるとしてWHO(世界保健機関)も摂取を抑えるよう勧告している。それもあってデンマークオーストリアでは10年ほど前からトランス脂肪酸の規制を始めている。そして、ついにアメリカでは今年の6月を持ってトランス脂肪酸を含んだ食品が全廃されることになった。ワォ、つまりアメリカの法律はマリファナを許可して、マーガリンを非合法にしたって事だ。僕が妥協して泣く泣くマーガリンを買っているというのに、アメリカではマーガリンよりマリファナを手に入れることの方が容易なのか。くそー、いっそのことマーガリンがゲートウェイになればいいのに。(ありえない)
もしかしたら今後、日本の観光客がアムステルダムマリファナを吸うように、アメリカの観光客が日本でマーガリンを貪り食う未来がやって来るかもしれない。Awesome!日本じゃマーガリンが食べられる上に、バターよりも安価なのか!最高だぜー! とか言って。いや、それはないか。ないな。