ハナムグリのように

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蚊 本 鬼太郎

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夜中に電気を消すと蚊の飛ぶ音がする。

10月に入ったのに蚊だなんて、と思うも昼間の気温は30℃に達して全国各所で季節外れの真夏日。まぁ蚊が出るのも無理はないかと諦め気分で電気を点けても、蚊の気配はない。耳をすませど羽音は聞こえず。で、電気を消してしばらくするとまたブーン。慌てて電気をつけると気配は消えて、また静寂。そんな事を何度か繰り返してるうちに目は覚めてしまい、もうこの蚊は幽霊なんじゃないか、電気を点けると姿が見えなくなるのは幽霊だからなんじゃないか、と阿呆なことを考えているうちに、ふと昔そんな内容の短編小説を読んだことを思い出す。

 

夏のある夜、幽霊の出ると有名な旅館に行って怪奇現象を楽しみに待つも、結局朝になっても幽霊は出てこない。幽霊は見れないし蚊には刺されるし散々だよ、と旅館の女将に話すと女将は、やっぱり幽霊は出たじゃないか、と言う。ここら一帯は農薬の影響で蚊が出ないんだよ。

あぁ、確かにあんなに蚊に刺されたのに、刺された跡が一つもない。

 

という話。ただ、この話が誰の書いた短編なのか全く思い出せなくて、今度は蚊よりもその事が気になって眠れなくなる。こんな時はネットだ!と、Googleで調べてみると「蚊の幽霊」の関連ワードに『銀魂』が出てくる。いや銀魂は読んだ事ないぞ、違う違う。と色々ワードを取っ替え引っ替えして調べてみると、どうやら小松左京の『午後のブリッジ - 小松左京ショートショート全集〈5〉』に収録されている『幽霊』という短編に蚊の幽霊が出てくるらしいけれど、でもAmazonで表紙を見る限り『午後のブリッジ』も読んだ事ない。どういうことだ。

じゃ誰かからの又聞きなの?それとも小松左京の別の短編集にも収録されてるの?と気になり出したら止まらなくて、家にある小松左京を片っ端から引っ張り出して調べて見ると、あった。『一生に一度の月 - ショートショート傑作選』。これに『幽霊』が収録されていた。あースッキリしたー。

で、随分と遅い時間に就寝。 自分は時間を無駄にして生きていると思う。

 

朝になって目覚めると、足がかゆい。 あぁ、蚊のことをすっかり忘れてた。

しかも、どうやらあの蚊は幽霊じゃなかったらしい。

 

ちなみに、秋になっても生き残っている蚊のことを「哀蚊」と呼ぶんだそう。昔読んだ小説に書いてあった。

ん、あれは誰の小説だっけ。

 

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そういえば最近、本をあまり読んでいない。昔から読書家というわけでもなかったけれど、今に比べれば随分読んでたように思う。最近ではいわゆる「積ん読」が多くなって、読んでない本だけが無駄に溜まっていく。どうも読書に集中できない。

そんなこともあって近頃は漫画を読み始めてる。今は水木しげる先生の諸作を色々と。今まで知らなかったけれど『ゲゲゲの鬼太郎』って連載誌や時代によっていろいろなバージョンがあって凄く面白い。70年代後半に『週刊実話』で連載されていた『ゲゲゲの鬼太郎 - 青春時代』なんかは、鬼太郎はあんまり妖術を使わないし、話のタイトルも「チンポコ紛失の巻」とか結構ふざけてる。と思いきや中には社会風刺的な話もあったりするから油断できない。魅力的。これからしばらくは水木作品に取り憑かれてしまいそう。

 

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一生に一度の月 (1979年) (集英社文庫)
 
晩年 (角川文庫)

晩年 (角川文庫)