ハナムグリのように

日々のあわ 思ったこと、聴いた音楽や読んだ本のことなどを

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淡々と日々が過ぎる

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久しぶりに夢を見た。
僕は中学生で、とりたてて理由もないのに不登校になる夢だった。いじめられた訳でも交友関係が悪くなった訳でもなくて、ただなんとなくの不登校。気分が乗らなくて、まぁ行かなくてもどうにかなるかな、なんて思って学校へ行かなくなった。ただそれだけ。それだけの夢だけれど、心にスコンと穴があいたように寂しい気分になる夢だった。

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起床。秋。昨晩降った雨の残り香。
さっきまで見ていた夢のディティールが思い出せない。とても寂しい夢だったことや、大まかな粗筋も分かるんだけれど詳しくは思い出せない。寂しい気分になる夢だった。心が沈む感じ。今朝見た夢のせいで心が沈み込む、みたいな歌詞の曲があった気がするなとふと思ったけれど、それも思い出せない。体がだるい。


出勤。だらだと仕事。だらだらと仕事がしたい、なんて言っている男は女性に嫌われるし、きっと意志の高い同性からも嫌われるし、それを理解した上でここで書くのもどうかと思うけれど、僕はだらだらと仕事がしたい。決して怠けたい訳でなく、近いニュアンスで表現するなら「ストレスフリーで仕事がしたい」。たぶんそれが近似値の表現。だらだらと仕事がしたい。


昼、食堂のおばちゃんが「若いから」との理由だけでオカズを一皿サービスしてくれる。これは結構頻繁にあることで、その度に、ありがとーございまーす、と笑顔を作るけれど、おばちゃんの予想とは裏腹に僕は小食だし、最近はダイエットも考えているので実は困っている。上手な断り方はないものか。


終業。夜、高校〜大学が一緒だった知人が仕事の関係で近くまで来ているというので、久々に会ってご飯を食べる事に。高校一年の頃に出席番号が前後で、携帯電話のアドレスを交換したときに僕のアドレスにビーチボーイズが66年に発表した名盤の「petsounds」という文字が入っているのに気付いて「ロック好きなの?」と話しかけられてからの知り合い。もう12年も前の話。それ以来一緒にいろんなバンドのライブやフェスを観に行ったりしたけれど、お互いに就職してからは会う機会も減って僕が2年前に引っ越してからは一度も連絡を取っていなかった。
仕事終わり、待ち合わせの場所に知人が会社の名前の書かれた車で来たので思わず笑ってしまう。イメージは学生のままだからとても違和感がある。こっちだってスーツを着ていて、それも彼からしたら充分に違和感があるはずだ。いつのまにやら知人も僕も大人になっていたんだなぁと感慨深い。さらに、お互いに近況なんかを話していると知人がさらりと「そういえば結婚したよ」と報告するので驚いてしまう。本当に大人になったんだなぁ。「あのブリキみたいな顔の彼女?」と驚きのあまりオブラートに包むのも忘れて訊ねると「そう」と答える。知人が言うには結婚と言っても籍を入れただけで式はしてないし、それに大々的にみんなへ報告もしてないからそんな大事でも、ということらしいが、やっぱりこれは驚くべき事だ。だって彼は結婚に踏み切るのが恐ろしく下手そうな、というか何事においても決断するのが苦手な男だ。なんの理由もなく結婚を決めるはずがない。思わず「どうして結婚したの?」とアホな質問をしてしまうと「いろいろあってね」と彼は話しだす。

彼の話では、去年の秋ぐらいから同棲している彼女の様子がおかしくなったんだという。職場での人間関係が上手くいっていないらしく鬱(ふさ)ぎがちになってしまったそうだ。心配になって心療科へ連れて行くと案の定、鬱病と診断された。そこから病院通いが始まって薬を飲めば少しマシになるようだけれど、酷いときは知人が仕事が終わってアパートへ帰るとクローゼットの中で体育座りしていたりして、それを見ていたら俺も涙が出てきてさ、と知人。彼女が鬱になっても自分には何も出来ないのがもどかしくて、とりあえず自分に出来る事を、と考えた結果が「結婚」だったんだという。
数年前に「ツレがうつになりまして」という漫画が流行っていたけれどこれは「鬱がツレになりまして」という逆パターン。そんな結婚もアリなんだな、と思う。なんとなくイレギュラーな結婚の決め方な気もするけれど、彼女を安心させたい、幸せにしたいと願うのは、つまり愛なんだろう。それって凄くまっとうな結婚のカタチなのかもしれない。


おめでとう、今日は結婚祝いに奢るよ。と言うと知人は苦笑い。そりゃそうか。餃子の王将で奢られてもそんなに嬉しくはないか。


帰り道、コンビニに寄ってコーヒーを買う。駐車場を少し冷たい風が吹き抜ける。買った缶コーヒーのプルタブを開けたときに、あぁもうホットドリンクを買う季節になったのか、と秋の訪れに気付く。

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キリンジ / KIRINJI TOUR 2013~LIVE at NHK HALL~

中高生の頃に見ていた「真夜中の王国」というNHKBSの番組でエイリアンズのPVを観たのがキリンジを知ったきっかけだったと思う。それ以来キリンジはアルバムが出るたびに評判も関係なく購入している数少ないミュージシャン。だから弟の堀込泰行さんが脱退すると聞いたときはそれなりにショックだったけれど、まぁそれも考え様。40年くらい前にビートルズが解散したとき「年に1枚だったアルバムがこれからは4枚も出る」といったポジティブなジョークを言う人がいたそうで、今回の脱退もそうやってポジティブに捉えている。袂を分かち、お互いに素敵な音楽を作ってくれればそれで充分。
で、この兄弟ユニットとしてのラスト公演がこのDVD。凄く良かった。とくに「早春」や「竜の子」「都市鉱山」なんかの比較的新しい楽曲のライブが素晴らしくて、これからのキリンジもすごく楽しみさせてくれる作品。

これは10周年のビルボードライブ。このDVDも素敵だった。


キリンジで一番好きなPV。スウィートソウル。