ハナムグリのように

日々のあわ 思ったこと、聴いた音楽や読んだ本のことなどを

規律

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この街でも久し振りの積雪。しんしんと雪が降り積もる。
真夜中になって、街からは酔っ払いの奇声も若者の談笑も聞こえなくなる。夜の本当の静けさを思い出す。
まるで知らない遠くの田舎町にでも来たような、そんな冬の夜の静寂。

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スコーンを頻繁に焼いている。
日ごろからホットケーキを焼くことは多かったけれど、スコーンを焼くのは久しぶり。スコーンはホットケーキほとんど同じ材料で作れるうえにバリエーションも豊富で、さらに材料を混ぜてオーブンに入れるだけだからホットケーキよりも短い時間で作ることが出来る。簡単だから時間が出来るとつい焼いてしまう。今日焼いたのは豆乳+紅茶のスコーンと、バナナ+チョコチップのスコーン。バナナの方はバナナそのものの水分量を考慮してなかったせいでスコーンとマフィンの中間みたいな仕上がりになってしまったけれど、それはそれで美味し。でも次回はちょっと分量の調整が必要だなー、なんて考えながら深夜に一人でスコーンを焼いている。
30歳を越えた男が深夜に一人で何をやっているんだろうという疑念は、スコーンが焼き上がる時の素敵な香りに掻き消される。

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数ヶ月前に仕事を辞めて以来、規律のない生き方をしている。思えば幼稚園に入園した3歳の頃から仕事を辞めた昨年の秋まで、僕は30年近くずっと何かに所属していた。だから当然その所属先である学校なり会社なりの規律に従った生き方をしていたわけで、それは起きる時間であったり格好であったり、もしくは発言なんかも意識はしてないまでもその規律の中に収まっていたはずだけれど、今はそれが全く無い生活。自由な生活。でもそれは幸せそうな生き方である一方、人間を駄目にする要因の一つでもあるとはひしひしと感じている。
という事で、どこにも所属してない身分だけれど何かしら自分の中に規律を、いや規律とまでは言わなくてもルーティンのようなものを設けなくてはいけない。と思って高置水槽(球体に限る)の撮影を始める事にした。
人に話すと、何を言ってるんだ?という顔をされてしまうけれど、これはそんなに奇異な行為ではなくてただ単に街で見かけた球体の高置水槽を写真に収めるだけのこと。とてもシンプル。元々ガスタンクや球体の高置水槽は好きだったから、実はこの写真を撮る行為も昔からやってはいた。ただ、あまり徹底していたわけでもなくて、ゆるーく続けている趣味みたいなものだったので、今回はこれを自分の中の規律として、見かけたら写真に撮ることを徹底しようという、なんと言うのか、だらしない生活の中の唯一の決まりごととでも言うのか。例えば小学生の頃、登校中に白線の上しか歩かないなんて決めて学校まで歩いたことがある人はきっと多いと思うけれど、これはそれの延長線上と思ってもらってほぼ間違いは無いと思う。(ってそれじゃただの暇つぶしか)
ちなみに高置水槽というのはマンションなんかの上にある貯水タンクで、僕が好きなのは球体のタイプ。丁度ガスタンク(正確にはガスホルダーと言う)をそのまま小さくしたような水槽。この貯水タンクは四角や円柱のタンクに比べると容量も少ないし、足場も作り難く中の清掃も面倒と言うことで今では新しく作られることはないんだとか。事実、僕の住む街でも四角いタンクがほとんどで球体のタンクはめっきり数が減ってしまった印象を受ける。まぁ、たくさんあっても大変だし、希少過ぎてもやり甲斐がないから、おかげで写真に撮るにはちょうど良い量なのかもしれない。ふと街中で見かけて携帯でパシャッと撮る感じ。だからそんなにフォトジェニックな構図を求めてとかではなく、ただ記念に一枚の感覚で撮っている。
で、実はここまでは前置きで本題はこれから。(とてもローカルな話だし、下らない内容だから読みたい方だけ)

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