大麻の話 ②

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ペルシャ猫を誰も知らない』というイランの音楽映画が好きだ。

西洋文化の規制が厳しいイランで、政府の監視を逃れながら音楽活動を続ける若者たちを描いた反体制的な青春映画。正直、この映画を観るまでイランでこんなにもポップミュージックが規制されてるなんて知らなかった。テヘランでは音源製作やライブはもちろん、練習してるだけでも通報されて警察が押しかけてくるんだからたまったもんじゃない。現代の日本で暮らす僕たちにはポップミュージックが規制されてる世の中なんて、ちょっと想像が出来ない。

とはいえ、思い返してみれば日本でも学校側が生徒に対してロックコンサートに行ってはダメだと指導していた過去がある。ちょうど今日、テレビでポール・マッカートニーが来日したニュースが流れていたけれど、彼がビートルズとして初めて来日した1966年当時ロックは不良の音楽とされていて、学校がビートルズのライブに行かないよう生徒に促していたのは有名な話。国による規制じゃないにしても、今になって考えたらあんなに愛や平和をポップに歌ってるビートルズを不良の音楽だとみなすなんて冗談にしか思えない。でも当時の大人は冗談でも嫌がらせでもなく、むしろ生徒への愛情からビートルズを否定していた。ロックミュージック=不良の音楽だと本気で信じていた。それが今では音楽の教科書に載ってるんだから、社会や人の持つ善悪の感覚って根拠がなくて浮動的なんだなとつくづく思う。

そういえばポールが80年にウィングスとして来日したときには大麻所持で逮捕されてたな。

 

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そう、それで大麻の話。

前回の記事(大麻の話 ① - ハナムグリのように)で大麻規制の歴史を書いてたのは、こんな歴史だから大麻解禁しようぜ、って話ではなくて、単純に大麻の歴史や現状に対する好奇心と、大麻を盲目的に批判する人への違和感からという所が大きい。

 

よく大麻解禁が議論されるときに「大麻が無害だろうと、わざわざ気持ち良くなる薬物を解禁する必要がない」と言う人がいて、まぁそういう人はアルコールやタバコなんかも嗜まない厳格な人なんだろうけれど、僕はわりと気持ち良くなるものは必要だと考えてしまうタイプだ。僕自身もアルコールやタバコを嗜まないけれど、人体に害がないのなら大麻の方がありがたいし、気持ち良くなるものはなるべくあった方がいい気がする。ロックミュージックとか。みんなそうだと思う。みんなそれに救われてるんじゃないかと思う。

 

ただ、染み付いた善悪の感覚がそれを許さないというのもよく理解できる。

 

例えば、僕の住んでいる地域では昔からゴミの分別がしっかり行われていたのだけれど、ある時から「コンセントの付いていない小型の電気製品」が「燃えるゴミ」に分別されるようになった。電卓とかの小型家電が燃えるゴミ。焼却施設の技術的な向上といった明確な理由があるとはいえ、染み付いた善悪の感覚でいうと電卓を燃えるゴミに捨てるのはやっぱり「悪」だ。電卓は絶対不燃ゴミだろと、当時はすごく違和感を感じた記憶がある。染み付いた善悪の感覚を覆すのはやっぱり抵抗がある。(まぁ今となっては何も気にせず燃えるゴミに入れているんだから、人の持つ善悪の感覚ってのは本当に危うい)

 

それで、善か悪かで言うのなら大麻に関する世間の認識は現状のところ「悪」だ。今後どうなるかわからないにしても今は「悪」だから大麻解禁の議論も結局「とにかく法律で禁止されるんだからダメなものはダメ」という結論に至ることが多いように思う。でもこれって実は一番怖いことなんじゃないか。

 

法律で禁止されているから吸っちゃダメ、というのはそれは当然。でも法律で規制されているから悪だと、そこで話が終わってしまう人は民主主義の外側にいる気がしてしまう。なぜなら法律は人が作ったものだから。決して天からのお告げじゃない。国民によって民主的に選ばれた議員が法を定める。この事に盲目的になって、法律だから絶対的に正しいと右に倣えをしてしまうのは民主主義を否定している気になってしまう。それは考えすぎなんだろうか。んー難しいところ。でも議論はしていかなきゃダメだと思う。それが民主主義。大麻が民主的にOKかどうかではなくて、議論をする事自体が民主的。

 

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大麻を通してアメリカの近代史から、リアルタイムで抱えているオピオイド問題、そして善悪の危うさや民主主義までも考えることができるんだから、大麻って本当に興味深い題材だ。これからも大麻に対する世間の動向を注意しなきゃいけない。

 

そういえばポール・マッカートニーってベジタリアンだった。きっと彼の中では肉よりも大麻の方が倫理的にOKに違いない。流石にこれは僕も共感できないな。大麻よりもジューシーな肉の方が絶対に良い。

(とか言いつつ来年には僕もベジタリアンになっているかもしれない。人の価値観なんて本当に危ういんだから)

 

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映画『ペルシャ猫を誰も知らない』予告編

音楽好きには間違いなく刺さる映画