ハナムグリのように

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雑記 エンケン

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ボリュームを上げるとそれに比例してカッコよく聴こえる音楽
というのが(今更何の意味もない)僕の中でのロックミュージックの定義なんだけれど、これは言い得て妙なんじゃないかと自己満足してる。
ただし「ロックの定義」なんてセリフはこの歳になると耳を赤らめずには言えない。

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昼起床。準備をして家を出る。
いつも使っているレコーディングスタジオが録音機材を入れ替えたのでその動作確認テスト、実際にお客さんで行う前のデモレコーディングを無料でさせてくれるというのでウキウキでスタジオに。趣味で音楽をやってる身からすると、無料でレコーディングできるというのは本当に有難い。ベース一本とギターを二本弾く。
参加しているバンドではベースを担当しているけれど、かねてから「女の子のベースを入れたら?ビジュアル的にさ」なんて冗談半分で口にしていた。まぁ8割くらいは冗談。にもかかわらず今度本当にベーシストが、しかも同年代の男性ベーシストがバンドに加入することになったので自分の立ち位置がギタリスト兼キーボーディストになってしまって少し戸惑ってる。とはいえ困惑もするけれど面白くなりそうな予感の方が実際のところ大きくて、こういった風の入れ替えは長く活動していく上で定期的に必要なのかもしれない。思えば憧れのポールマッカートニーだって細野晴臣だってベーシストといえども何でも演奏するミュージシャンだから、この流れも‘あり’だなとは思ってる。
ただ問題は、自分そんなにギターが上手くないし、さらに鍵盤に関しては「猫踏んじゃった」すら弾くことができないってことだ。まずいなぁ。練習しなきゃ。

レコーディング後バンドメンバーとラーメンを食べる。平日に無料でレコーディングスタジオを使って、帰りに美味しいラーメンを食べるだなんて、ここだけ切り取って高校生の頃の自分に伝えたら飛び跳ねて喜ぶかもしれない。もちろん現実はそんなに甘くないけれど。

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エンケンが亡くなった。享年70歳。
思い立ったように10年前の『STUDIO VOICE』を引っ張り出しきて読み返す。2007年4月号。特集は「非=入門的ロックガイド」。ここに載っているエンケンのインタビューがたまらなく好きだ。

ボブディラン聴いて、こいつは凄いと思ったけど、そこから教わろうとしたことは一度もない。いい音楽だと思うと「こいつには負けないぞ」と思うからね。

ビートルズの「抱きしめたい」は好きなんだけれど「ヘイジュード」は嫌いなんだ。しゃかりきに張り切って、君が好きなんだよと歌ってる方がずっといい。俺は可愛い女の子に勝手に恋をして99歳までいっぱい曲をつくれたらと思う。

音楽はジャンルじゃなくて、好きか嫌いかしかなくていいと思う。あとはお説教になるよね。お説教したがるヤツはつまんないヤツが多いんだ。

俺はいつでも生まれた時初めて発した叫び、産声と勝負してるんだ。その産声って人間の一生のうちで一番純粋で、力強く美しい声だよね。そう正に言音一致の純音楽だよね。


見開き2ページのインタビューだけれど、恥ずかしいほどに全部かっこいい。とりわけ70歳で亡くなった今読むと冒頭の言葉が胸を打つ。

60歳になった次の日エレキをスタジオに持ってって耳が遠くなるほど轟音を出してみた。凄く気持ち良かったから「とりあえず病気しなけりゃ70歳までやれる」と思った。


ご冥福をお祈りします