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「美しい装丁の絵本をぱたりと閉じたような夏の終わり」
好きな小説に出てくるこの言葉の、そのまどろっこしさを感じるくらいの比喩表現がとても好きで、毎年夏が終わるたびにそんな夏の終わりを感じてみたいと思う。美しい装丁の絵本をぱたりと閉じたような、そんな夏の終わり。
けれども実際にその文章で表されるような、美しくセンチメンタルな季節の移ろいなんて体現するのは難しくて、さしずめ「読みかけの古びた文庫本をなくしてしまった」くらいの夏の終わりを迎えるのが関の山だ。今年の夏の終わりもそんな終わり方だった。気がついたら夏は終わっていて、秋も深まり、もう冬の匂いがしそうな時分。時が過ぎるのは本当に早い。
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起床。少し濃いめの珈琲。青い空にアドバルーン。
出勤。朝、駅を出たところに新しい大型の食品スーパーがオープンしていて、その宣伝にアドバルーンが上がっているのを見て少し面食らう。このご時世にアドバルーンとは珍しい。高層建築が多くなった現代だと空に昇る広告用のアドバルーンの効果なんて期待できないし、そもそもチラシやインターネットに広告を載せた方が断然効果があるだろうに。それでもアドバルーンが昇っているはどうしたものか、と考えるに答えは簡単で、それはここが田舎だからなんだろう。駅前と言っても背の高い建物なんてアパホテルくらいだ。アドバルーンを上げるには十分な環境なのかもしれない。
職場に着くと上司が近づいてきて「申し訳ないんだけれど、例の飲み会は中止で」と告げられる。「誰か都合悪くなっちゃったんですか?」と訊くと「いや、僕が帯状疱疹でちゃってさ、医者からなるべく安静にするよう言われてるから」とのこと。それは大変ですね、と思うと同時に面倒な作業が減って良かったと思った自分は心が冷たい。というのもつい数日前に急な人事異動が発令さてその上司が大阪に行くことになったため送別会を開くことになっており、その送別会の幹事役が年の若い自分に廻ってきていたから。そして自分の歓迎会がそうだったように誰が楽しいんだかわからない飲み会企画(ちなみに僕の歓迎会ではなぞなぞ大会をやっていた。「パンはパンでも〜」レベルのなぞなぞ。誰が楽しかったんだろう。)を考えなきゃいけないことになっていた。今回飲み会自体が無くなったので上司には申し訳ないけれど下らない企画を考える必要がなくなって少し心が楽になった。それに自分の冷めた気持ちの言い訳ではないけれど、上司も過労で倒れるとかでなく帯状疱疹で済んで良かったと思う。実は僕も昔なったことがあるけれど、帯状疱疹って薬ですぐに治るし精神的なものだから周りも優しくしてくれるものだ。がんばれ、上司。
終業。夜は結構冷え込む。 もう、これは冬の一歩手前。
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Lani Hall / Sun Down Lady
A&Mのコンピに収録されていた「Sun Down」を聴いて以来ずっとCDもしくはレコードが欲しいと思っていたけれどいっこうに見つからない。数年前には日本でCD化されてるみたいなんだけれどアマゾンにもない。再発してくれないかな。秋が深まるこんな季節にしっとり聴きたい、そんなアルバム。(youtubeで聴くかぎり)
聴き馴染みのある声だと思っていたらSergio Mendes & Brasil '66の人なのか。
セルジオメンデスはマケシュナダみたいなテンションの高い曲よりもジャジーでゆったりした曲が好き。