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市のHPによると工場の多いこの街には140本以上の煙突があるらしい。
ピーク時に比べると半分以下になったと言うのだけれどそれでも充分に多い本数だ。
140本の煙突。そこからは日々もくもくと白い煙が立ち上っていて、もちろんそれらは有害なものではなくてただの水蒸気らしいのだけれど、それでもやっぱり多少なりとも臭いはする。午後、風向きが変わると僕の住んでいるアパートにも臭いが流れてくるから洗濯物は長くは干せない。早めに取り込んだつもりでも洗濯物に少し臭いが付く。この街に2年半住んだけれど、結局この臭いには慣れなかった。この街にどうも馴染めなかったのはそのせいかもしれない。
臭覚は視覚や聴覚よりも記憶との結びつきが強いという。この先、何年かの後にこの臭いを嗅いだら、この街で暮らした20代後半の二年半のことを思い出すのかな、なんて思いながら、電車に揺られて。
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なんだか忙しい。と、そんな気がしているのも本当は気のせいなのかもしれない。事実、寝る時間だって充分にある。ただ欲を言うならもっと寝ていたい。出来ることなら春先くらいまで。
起床。部屋が散らかって埃っぽい。新しいダンボールの匂いがする。
片付ける暇もなく準備をして家を出る。新幹線で東京、高円寺へ。自分が参加しているバンドのライブ。対バンに知り合いのバンドが多くて東京でライブをしている感覚がないものの、やっぱり高円寺でライブをすることには少しワクワクするところがある。これはやっぱり自分が地方在住のバンドマンだからなんだろうか。高円寺はバンドマンの街。その高円寺でライブをする事で、いつか雑誌や映画で見たバンドマンの一人に自分もなった気がする。それで少しほくそ笑んでいる自分はやっぱり田舎者なんだろうな。ちなみに僕の中での高円寺はみうらじゅんの漫画「アイデン&ティティ」のイメージ。ぼろぼろの鍵の壊れたアパートにバンドマンが住んでいるイメージ。
ライブ終演後はそのまま近くのホテルで一泊。
朝、自分のベッド以外で寝るのは苦手だな、と感じながら起床。
身支度をしてホテルで朝食をとって街へ出る。時間の都合でのんびり東京観光というわけにもいかず、昼を少し過ぎたくらいでまた新幹線。それでも帰宅すると夕方5時を回っていて、慌てて散らかった部屋を片付ける。というより、とりあえずダンボールへ詰め込む。二年前に越して来たときってこんなに荷物多かったかな、なんて思いながら。そのまま夜も遅くなって就寝。
起床。引っ越し作業の続きをして、せわしない朝。
10時に来る予定だった引っ越し業者の到着がずいぶんと遅れてしまい、そのせいでアパート退出の立ち会い時間がずれ込んで、なんだかゴタゴタする。全部終わると14時近くに。まぁ、だからといってその後の予定がつまっている訳でもないのでのんびりと電車に乗り込む。
二年半住んだこの街を後にする。
電車の中では煙突の多いこの街の、その独特な臭いももうしない。
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世の中のほとんどは惰性で動いているな。
と、それは悲観でも諦めでもなく、ましてや言い訳なんかではなく
それが事実なんだと感じながら、日々。
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ここ最近なにを聴いていたかなと思いかえしたら、おそらく一番聴いたのはNick DeCaroのコンピ。それ以外で新譜だときっとこれだ。WoodsのベーシストKevin Morbyのソロ。
Kevin Morby / Harlem River
- アーティスト: Kevin Morby
- 出版社/メーカー: Woodsist
- 発売日: 2013/11/26
- メディア: CD
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Real Estate / Atlas
- アーティスト: Real Estate
- 出版社/メーカー: Domino
- 発売日: 2014/03/04
- メディア: CD
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Your Friend / Jekyll/Hyde
そして同じくドミノから。ちょっと先、4月のリリースだけれど楽しみ。かっこいい。