ハナムグリのように

日々のあわ 思ったこと、聴いた音楽や読んだ本のことなどを

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気温が急に下がって、雪が降る直前のあの感じ。
全ての生き物が息を殺して何かを待っているような、そんな静けさに街が包まれてなんだか心がソワソワするあの感じ。
  
でも結局雪は降らない。この街で二回目の冬を越そうとしているけれど、まだ雪を見ていない。
たぶんこの街では雪が降らない仕組みになっているんだと思う。

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起床。 実家。 二月の終わり。
昨日は一日忙しくしていたこともあってその反動か昼過ぎまで寝てしまう。本当は早くに起きて買い物に行ったり携帯ショップに行きたかったのに。で、昼過ぎに起きても動く気にならずに実家でゴロゴロ。冬なんて早く終われば良いのに。
夕方、アパートへ帰るために新幹線に乗り込む。ノートPCを開いて昨日買った知り合いの自主制作CDを聴きながらぼんやり。いい曲。音楽を聴いたときに「感動した」なんて陳腐な言葉はなるべく使いたくないのにと思いながら、感動した、なんて。
窓の外はゆっくりと夜の帳が降りていって、乗り換えの駅に着く頃にはもう真っ暗。寂しい気持ちになる。冬なんて早く終われば良いのに。

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ここは退屈迎えに来て / 山内マリコ

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

いたるところで目にして気になっていたので購入。「地方ガール」なんて言葉が本当にあるのか知らないけれどこれは間違いなく地方ガール、もしくは元地方ガールの為の小説。舞台は地方都市。日本のどこにでもある、本当に腐るほどある地方都市。そこでの暮らしにどこか鬱積した感情を持つ女の子が主人公の8つのストーリー。話の随所にちりばめられた「文系地方ガールあるある」が胸に苦しい。

朝子はまなみ先生が中学生のときに愛読していた雑誌を読むのが好きだった。(中略)
キャロルキングの「つづれおり」やニコの「チェルシーガール」、「ミナ」や「青春シンドローム」といったフランス映画のビデオ、岡崎京子の漫画とフリッパーズギターのCDをセットで貸してくれたのもまなみ先生だった。
クラスに休み時間を一緒に過ごす友達はいても映画や音楽の趣味を共有できる友達はいなかった。
(東京 二十歳。より)

調べてみると著者の山内マリコさんのプロフィールには「1980年富山県生まれ。バブル崩壊後の地方都市で、外国映画をレンタルしつづける十代を送る。」とあって、つまり彼女もれっきとした地方ガール。なるほど、と思う。それでこのリアリティなのか。正直、文章もストーリーも自分の好みかと言ったらそうじゃないのだけれど、小説にしろ音楽にしろ作者の等身大の作品というのは魅力的。


ビッチマグネット / 舞城王太郎

ビッチマグネット

ビッチマグネット

珍しく誰も死なない舞城小説。他の作品に比べたら格段に爽やかでサラッと読んでしまえることに正直物足りなさを感じなくもないけれど、それでも自分はこの人の書くヒロイン(の言葉、文体)がとても好きなので(「阿修羅ガール」や「ピコーン!」)自分としては十分満足。